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当蔵元だけの「菩提もと」造り
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 始まりは室町時代
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お酒のもとの仕込み方法は、現在多くの蔵が採用している「速醸もと」「高温糖化もと」など、比較的新しい「もと」の仕込方法から、江戸時代から続く「生もと」、明治期に考案された「山廃もと」など伝統的な技法の仕込方法があります。「菩提もと」はそれよりも更に古く、室町時代に確立されたもとの仕込方法です。


室町時代には僧坊酒と呼ばれる寺院で造られる酒の製造が盛んで、その中のひとつ奈良県の正暦寺で醸していた酒「菩提泉」の「もと」の仕込み方法が「菩提もと」のルーツとされています。その後正暦寺以外の寺にもこの「もと仕込方法」が広まっていたようです。

室町時代初期『御酒之日記』、江戸時代初期『童蒙酒造記』などにも「菩提もと」についての記述があり、当時の日本酒の醸造技術の高さを物語っています。


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  天然乳酸菌+蔵つき酵母
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「菩提もと」は別名「水もと」とも呼ばれ、「もと」の仕込み水に乳酸菌を沸かせたものを用います。具体的には、仕込み水に生米と炊いたご飯を入れて酸性にしたものを「そやし水」と呼び、これを「もと」の仕込み水として使用します。



乳酸菌の添加などはせず、蔵に漂う空気中の乳酸菌や蔵つき酵母を取り込んで沸かせる方法で、純粋培養の酵母で仕込んだ酒とは違う、まさに御前酒の蔵でしか出来ない唯一無二の味になっています。

故原田杜氏がよく言っていました。「人間さんの予定に酒を合わせるのは難しい。酒に人間が合わせるんじゃ。」人間の力だけではなく、蔵に宿った菌と共に醸すのがこの「菩提もと」です。

天然の乳酸菌を取り込んでいるため、カルピスのような風味があり爽やかな果実様の香りがあります。
また、複雑な旨味をしっかりと残しながら、酸味が後味の切れをよくしています。日本酒を普段飲まない方でも非常にのみやすい爽やかな風味をもちながら、通な方の期待を裏切らない米の旨味も兼ね備えています。

珍しい酒はたくさんあるが、珍しくておいしくてたくさん飲める酒はそんなにない。御前酒の「菩提もと」は後者です。


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 試行錯誤を重ねて、蔵独自の「菩提もと」に
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日本酒の「もろみ」で健全な発酵をさせるためには、多量の「乳酸」によって雑菌の繁殖を防止するとともに、数多くの優良な酵母を働かせなければなりません。その目的を達成するため、「乳酸」と「優良酵母」を大量に含んだ「酒母」をもろみを仕込む前に造ります。


酒母の種類は「乳酸」をどのように得るかで分けることができます。

●速醸酒母
既に精製した乳酸を蒸米、麹、酵母、仕込水と共に仕込む。

●きもと
蒸米、麹、仕込水で仕込み、「もと摺り(山卸)」という作業で米の溶解を促し、天然の乳酸菌により乳酸を生成させた後、酵母を添加して繁殖させる。

●山廃もと(山卸廃止もと)
「きもと」で行う「山卸」の作業を廃止し、麹の力だけで米を溶かす。乳酸を得る原理は「きもと」と同じなのでこの2つを「きもと系」ともいう。

●菩提もと
奈良の菩提山正暦寺で鎌倉時代以降に生み出されたとされる酒母の造り方。酒母の仕込みを行う前に生米と蒸米を水に浸け乳酸菌を繁殖させた水「そやし水」を作り、この乳酸を大量に含んだ「そやし水」を仕込水とし、一緒に浸けていた生米を蒸して蒸米にして麹と共に仕込むという方法。

●御前酒菩提もと
従来の「菩提もと」の製法をベースに先代杜氏、原田 巧が試行錯誤を繰り返して御前酒の蔵に適した製法として生み出した新しい「菩提もと」。少量の米麹を水に浸け、乳酸菌を繁殖させ「そやし水」を作る。乳酸が大量に生成された頃に一度、加熱殺菌し安全性を高めてから仕込水として使う。

 
 

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