勝山高校のすぐ裏手にある石段の小道。高校生たちにとっては、お馴染みの通学路。この坂の雰囲気が、なんとなく尾道の映画のロケ地を彷彿させる。石段のすぐ右側にも人ひとり通れるくらいの細い小道が続き雰囲気満点。かつての侍屋敷の面影を忍ばせるように、共同の井戸が今も所どころに残っている。
住宅が建ち並ぶ侍屋敷跡。込み入った路地を歩いていると、偶然家の前にござを広げて、神社に奉納する注連縄を編んでいらっしゃる方に遭遇した。稲わら15本を一束にして、7本、5本、3本にわけて3つ編みにしていくんだよ、と教えててくれた。昔ながらのそんな風習や決まりごとを、年配の方たちは今も大事にされている。
散歩途中、「カフェ てあ」に寄って腹ごしらえ。山野草おじさんこと、マスターの栗田さんおすすめの「竹みょうがのペペロンチーノ」をいただく。竹みょうがは、みょうがの茎の部分。スーパーでは絶対にお目にかかれない、この時期、地元でしか食べられない珍しい食材だ。土の中のみょうがそのものより上品な香味。夏の味覚が口の中いっぱいに広がった。
勝山のシンボル、旭川。鳴門橋から川沿いにつたう道は、地元の人の夕涼みコースだ。この季節、待ってましたとばかりに姿を現すのが、腕自慢の釣り師たち。むろん狙いは鮎である。夏の日射しを浴びてきらきらと光る川面や、白い水しぶきの中、長い竿が何本も立つ光景は、ずっと眺めていても飽きることがない。