空は高く青く、汗ばむほどの陽気である。まずは保存地区から車で10分のところにある「神庭(かんば)の滝」へ向かう。ここは、日本の滝100選にも選ばれた名勝地。野生のお猿さんたちの生息地としても有名で、この地方を代表する紅葉狩りのスポットとしても親しまれている。
駐車場に車をとめ、滝までの約1キロの道のりを歩く。ほとばしるような渓流の水音が響く小立の中に入ると、一瞬にしてさっきとまるで違う空気に変わった。人の気配はかき消され、ここからはまさに野生の領域だ。 途中、「玉垂れの滝」という美しい滝があり、しばし目を奪われる。苔むした岩から、すだれのようにきらきらとしずくが落ちる様子はまさにその名の通り。なんとも風流である。
受付で200円を払ってさらに園内へ。切り立った懸崖を眺めながら、最奥まで進むと、かなたに110メートルの高さからどうどうと垂直に落ちる滝があらわれた。その大きさは、見るというより仰ぐという言葉がぴったりだ。
容赦なく岩を削るその勢いに圧倒されつつ、青い空を割って一気に落下してくる白い奔流を見ていると、心が洗われるような不思議な気持ちよさに包まれる。大いなる自然のバイブレーションに浄化される感覚…。実際、滝にはマイナスイオン効果があるというから、現代人にとっては森林浴と同様、その恩恵は絶大である。
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