祭り命の
勝山っ子たち
鯖ずしを囲むと、やはり祭りの話しが聞きたくなる。
「盆、正月にも帰ってこん息子らが、なぜか祭りには必ず帰ってくる。けんかだんじりは、それだけ若いもんものぼせるなんかがあるんかなあ」とご主人。そうなのだ。勝山の子どもたちは皆、あのチャントコチャントコという独特の早いリズムを体に刻んで育つ。特に男の子たちは、祭りの日になると誰から言われるでもなく、だんじりが止まっている時にすかさず上がり、われ先にと鐘打ちの練習をするそうだ。勝山の小・中学校もこの日は半ドン。店も閉まる。それほどに熱が入るのだ。
「勝山の人間はね、みんな一年に一度はあの音を聞かんとだめなんよ。(帰ってこれない娘には)電話で受話器越しに、聞こえるか?言うて祭り囃子を聞かせたもんよ」と満代おばあちゃんも目を細める。
実際、けんかだんじりの当日、町は祭り一色に染まる。まるで1年間蓄積したエネルギーをこの2日間にすべて注ぎ込むかのような男たちの気迫には、ただただ圧倒されるばかりだ。町が、人がひとつになるというのはこういうことかと、その独特の熱気を見せつけられるのである。
今年はとりわけ天候にも恵まれ、ここ数年の中でも格別の盛り上がりを見せたようだ。祭りのあとには、いつものように鯖ずしが用意され、酒を酌み交わしながら大いにその勇姿をたたえあったに違いない。遠く離れていても、変わらないふるさとの味。まさに勝山ならではの暮らしの風土がここにある。
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