山野草と一口に言っても、せり、なずな…あたりは多少馴染みがあるものの、「じゃあ、一人静ってどんな花?」と聞かれると、さて、答えられない。
バラやチューリップ、ガーベラにフリージアと、即座に浮かぶ花の名前といえば外来種ばかり。日本古来の草花はもちろん、その辺の道ばたに生えている身近な雑草でさえ、案外知らないという事実に驚いてしまう。
「今、守るべき貴重な山野草は国内で2000種類あるといわれていて、そのうちの3分の1の600種類くらいが中国地方に生息してるんですよ。さらにそのうちの3分の2は真庭郡(岡山県美作地方)にあるといわれてるから、勝山はまさに山野草の宝庫ってところかな?」
そう話すのは、「山野草大好きおじさん」こと栗田雅文さん。勝山に暮らし始めて25年。3年前から山野草の美しさに魅せられて、今では毎朝ひとりで山にでかけ、お気に入りのコースを歩くのが日課になっている。
町の総面積の85%を山林が占める勝山は、そこかしこで豊かな自然を体感できる。4月〜6月のこの季節は、ちょうど春の山野草の開花時期。淡く可憐な花が野山を彩る。
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