日本人にとって、あまりにも馴染みが深く、見過ごす事のできない花、「桜」。
毎年、花の季節が巡ってくると、心なしかワクワクしてくる。
子どもの頃は、さほどうれしい事がらでもなかったのか、どうして大人は春になると桜のことばかりを話題にするのか、不思議な気がした。
歳を重ねるにつれ、季節のうつりかわりに敏感になるのか、陽射しのぬくもりや風の匂い、土の感触やせせらぎの音…、そんな自然の変化に、新鮮な感動を覚えてしまう。
とりわけ、冬から春への変わり目は劇的だ。草花が芽吹き、虫が動き、あらゆる生命がいっせいに伸び上がってくる。少しづつ春の舞台準備が整っていき、やがて主役の桜の登場まで、日一日とカウントダウンが始まる…。春を実感する最も楽しい瞬間だ。
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