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ここ美作の国にまつわるお酒の話や町の話題・蔵人のないしょ話・蔵からのメッセージなど、エッセイ風に皆様にお届けしていきます。
その六十(2006年6月10日)
「人と町をアートでつなぐ」
「ハコモノ」と呼ばれ、そのあり方が問われる美術館や博物館が少なくない中、
「公設民営」という独自のスタイルでさまざまな文化交流を行っている「勝山文化往来館ひしお」。
住民主導のスタンスを掲げ、スタートしてまる一年。勝山らしさにこだわるその理由や、
協働の場としての役割など、館長である辻弘子さんにお話を聞きながら、レポートしてみました。
勝山文化往来館 館長
辻弘子(つじ・ひろこ)
プロフィール
1972年に渡英。夫マイケル・ディーンの営む日本古美術商を手伝いながら、ジャーナリズムも手がけた。2005年6月より、勝山文化往来館館長を務める。
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辻さんは、文化往来館ひしおの館長でありながら、アートディレクターとして、また、海外の芸術や文化を勝山に紹介するナビゲーターとして活動されてらっしゃいます。普段はロンドンにお住まいですよね。
辻弘子・ディーン(以下敬称略)生まれ育ったのは勝山ですが、ロンドンに住んで30年になります。ひしおではいろんな意味での文化交流をひとつには目指していて、それは地域レベルであったり、国際レベルであったりするわけですが、その中で私は、ロンドンやヨーロッパで活躍しているいろんなアーティストを勝山に連れてくるという役目をいただいているわけです(笑)。というわけで、現在は勝山-ロンドンを行ったり来たり、まさに往来しています。
?改めて、ひしおの特色についてお聞きしたいのですが。
辻 いわゆる行政や企業が運営する美術館やミュージアムではないというところがひとつの特徴ですよね。ロンドンの友人やアーティスト達にひしおを紹介するときは、あえて“カルチャーセンター”という言葉を使ってるんです。七夕のイベントをしたり、子どもたちのワークショップ&Tシャツのアート展を開いたり、山野草の展示会や勝山高校の生徒の美術展など、地域の方たちの発表の場としても利用してもらっています。
その一方で、ひしおの自主事業としては、今回のモリス・バイスナーの木の絵本展だとか、移動レストラン、音楽会などを開催しています。
-自主事業であるアートイベントについて、アイデアやコンセプトを教えてください。
辻 去年の秋から始まったことですが、「アーティスト・イン・レジデンス」と称して、海外のアーティストを招聘し、ここ勝山でアート活動を行っていただきます。昨年は、スコットランド在住の日本人彫刻家・古田日出夫さんを招いて、実際に石のオブジェ(作品名「舞い上がる立体」)を制作していただきました。
この秋には、その第2回目としてイギリスのアーティスト(兄弟)を招へいする予定です。二人とも日本の美術を勉強していて、お兄さんの方は刀の鍔などを制作している金工作家、弟さんは根付け(印籠、たばこ入れなどのひもの端につける細工物)を専門に制作しているんですが、とても素晴らしいアーティストです。二人に勝山に滞在してもらって、勝山の自然の中を歩いてもらい、そこから材料や題材を見つけて作品を創っていくという試みです。子どもたちが一緒に参加できるワークショップも同時に開催しようと思っています。
古田日出夫作「舞い上がる立体」
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「ひしおから発信していきたいのは、勝山という土地と、自分たちの生活、そしてアート。
この3つの関係性を追求し続けていくことがとても大切なんです」 ********************************************************************
-アーティスト自身が町に滞在するというのが面白いですね。町の人や来館者とのコミュニケーションも自然に生まれてきそうで。一流のアートやハイカルチャーなものからは、すごいパワーをもらえるのですが、展示だけだと、ただ観て帰るだけ(それもいかにも公的な施設だと、監視されて時に緊張を強いられる)に終わってしまうことも少なくないです。でも実際に、ワークショップなどのメニューが用意されていると、来館者もアートをより身近にとらえられるし、そこで得た感動を日常に置き換える楽しみが脹らんでいきそうです。
辻 そうです。交流を通して、ここをいろんな人たちの「協働の場」にしたいんです。「舞い上がる立体」はこの場所で生まれたものですが、搬入や設置の際、地元の石屋さんをはじめ、たくさんの方が協力してくださいました。直接アーティストと会話を交わし、プロセスを共有する中で、勝山の人たちがアートにとても関心を持ってくださった。現場もドキドキするような楽しいものになりました。後に、出来上がった作品を東京のデザイナーの方が見に来てくださったんですが、「ひしおのイメージにぴったりだ」と言ってくださって、その時はすごくうれしかったですね。
-
その「ひしおらしさ」は、いいかえれば、「勝山らしさ」でもあるわけですね。
辻 その通りです。ここで展開していくアートやものづくりを、勝山の自然や暮らしといかに連動させるかがテーマなんです。勝山の財産である美しい山や川、そして暮らしの中の技…。それらを感じてもらいながら、アーティスト自身が、その空気にじかに触れて「ここで制作したい、ここでパフォーマンスしたい」、そんな思いから生まれたものを発信していきたいんです。ここに来たいって向こうから言ってきてもらえるようになれば大成功(笑)。ひしおに来館してくださった方たちにも、同じように勝山の空気やエッセンスのようなものを感じてもらえればと思います。
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「ひしおでなにかを考える時は、必ず勝山や真庭という地域が主人公じゃなきゃいけないし、ここに住む人たちが主人公じゃなきゃいけない…」。
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-今後、海外のアーティストを招聘する上で、ここ勝山は、日本の中でどんな位置づけになりそうでしょうか。
辻 彼らは、日本に行くんだったら、やはり大都会である東京と日本の古都、京都はちょっと見てみたいって言いますね。でも一方で、田舎も体験してみたいと言うんです。勝山は、美しい自然の風景も、ごく普通の日本の暮らしも両方残ってる。観光地ではない、でも調和のとれた日本の静かな田舎町として、なにかを感じてもらえると思います。
-もともと旧い城下町で、昔ながらの職人さんも多いですよね。石材屋さんや、大工さん、あと竹細工や高田硯など、暮らしの中から生まれたすぐれた伝統工芸も残っています。そういう勝山がもともと持ってる潜在価値というのも魅力でしょうか。
辻 はい。でも、そういうのが見直されてきたのはここ10年ぐらいのことなんです。それまではなんにもなかったし、実際私が子どもの頃は今みたいに元気な町じゃなかった(笑)。加納さんののれんが町を一変させてしまったというのがやはり大きいです。あれこそまさにコンセプチャルアートの尖端だと思うんです。あと、お雛まつりにしても町並み委員会にしても、いい意味で中年ががんばってる(笑)。それとともに、最近は他所から若い人たちが勝山に関心をもって訪ねてきてくれたり、勝山で働きたいという地元の若い世代も増えてきてる。それはすごくうれしいことです。
-たぶんそれは、勝山が歴史的に古いというだけではない、なにかモダンな空気も感じさせてくれるからだと思いますね。
辻 そうですね。勝山の人は新しいものにも意外に敏感なんですよ。伝統を残しながら、自分たちの暮らしに合うものを上手に取捨選択してるんだと思います。美しいものや質の高いものに触れると、五感が開いて気持ちがいきいきしてくる。ここに住む人たちは、そういうことを常に自分たちで意識しながら生活を楽しんでると思うんです。その結果、人も町も潤いのあるものになっていく。だから、ひしおで何かを考える場合も、必ず自分たちの地域(勝山ひいては真庭)が主人公じゃなきゃいけないし、地域の「人たち」が主人公じゃなきゃいけない。動いていく中で、そこは絶対にはずしてはいけないことだと思ってるんです。
■勝山文化往来館 「ひしお」
岡山県真庭市勝山162-3
TEL 0867-44-5880
OPEN 10:00〜18:00
■cafe うえのだん
TEL 0867-44-5881
OPEN 11:00〜18:00
(金・土のみ〜22:00)
※ともに水曜休
P保存地区内観光駐車場利用(約100台)
2006年6月14日
のれんの向こうがわのバックナンバーはこちら
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