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「仕事じゃけん・・・」では、高校生たちが町に飛び出し、さまざまな業種の商店主にインタビュー。造り酒屋に時計店、印判店、和紙屋、自転車屋…その数全部で26店舗。各店の主が答える、「仕事じゃけん…」の後に続くひとことには、それぞれの仕事に対する価値観や人柄、人生観などが透けてみえて面白い。
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河田(以下敬称略) 特別な何軒かをとりあげるんじゃなくて、フラットにみんな一緒にというところですね。勝山は普通に暮らしている人がおもしろいんです。
-ああ、わかります。この「のれんの向こうがわ」も、個人レベルな話が聞けるところがやってて楽しくて、もう58号も続いています。
河田 イチローとか松井とか、ああゆうテレビに出てくる特別な人ばかりを目標にしなくたって、勝山にいると、近所におるおっちゃんやおばちゃんや、おかあさんやおとうさん、みんな一人ひとりにストーリーがあるっていうのを肌で感じられる。
-まさにそのふつーっぽさですよね、勝山は。地域経済が専門の河田先生からみて、勝山の町が一番他と違う点ってどこでしょう。
河田 勝山の町づくりは、学ぶところがとても多いんだけど、たぶん形式的に真似しようと思っても絶対真似できない。たとえば他の地域だと、商店街が衰退していくのを、行政がなにもやってくれんからとか言い出すでしょ。でも勝山では誰もそんなこと言わない。はじめに企画ありきじゃなくて、住んでる人が自主的に、夏は花火の柄ののれんでも掛けようかって楽しみを見つけて、それをみんなが共有するところがすごいと思う。それがまた美しいし。
-おっしゃるとおり。アポなしでいきなりおじゃましても、お茶がでてきて、まあ座ってゆっくりしていかれえなんて言ってくれる。そんな町はそうないです。
奨 それあたりまえじゃろー。
-(他ではそんなこたあないぞ)。
河田 のれんって、内と外を軽やかにつなぐ役目をしてくれてて、いちおう境界なんだけど、外からのものもしなやかに受け入れてくれる。地域と学校もそういう関係でありたいと思うんですよね。教室の中だけじゃ学べない教材が地域にある。勝山だからこういう経験が教材として成立する。ある町の方が(高校生から質問されて)自分たちが子どもたちに教えてやれることがあるのがうれしいって言って下さったんだけど、すごく懐が深いですよね。
-のれんの内側に住んでいる当の二人からみて勝山のいいところってどこだと思う?
亜紀 まつり以外じゃなかったら絶対まつりじゃけどな。行事のときとかひとつになる。
奨 仲がええ。なれなれしいぐらい。
-エリアでいうとどのへんまで親しくわかるん?
奨 (自分の住んでいる)保存地区は全部いけるな。(隣りの新町)商店街もいける。家族構成とか、親戚は誰とかいうとこまでわかる。
河田 向こう三軒両隣でさえ、最近は関係が希薄であやういこの時代にねえ…。
-町がもうまるごとファミリーみたいな?
奨 それ(表現が)デカかろー
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