「草丈102、109、98…。幼穂(ようすい)4ミリ、
2ミリ、2ミリ…、葉色28.1、ウンカも今のところ心配なし。
15日に堆肥20キロ…」。
太陽が照りつける炎天下の中、営農指導員が各生産者の田んぼを回
り、生育状況を丹念に測定していく。農薬や除草剤の使用を極力抑えた
米づくりは、病害虫が広がってからでは手遅れになることも多い。絶え
ず手をかけながら、小さな変化も見落とさぬよう、収穫までの経過を慎
重に見守っていく。
「特別栽培農産物生産ほ場 品種 雄町」。
一面に広がる田んぼの中で、ここが特別に選ばれた場所であることを、
その立て看板が伝えてくれる。一般の食米に比べて苗が大きく、7月を
過ぎる頃からぐんぐんと草丈が成長するそのたくましい姿は、まさに他
とは違う「酒米の帝王」の風格だ。 |